皆さんは自身の会社の『従業員満足度』をご存じでしょうか?

 

統計調査によると、従業員『満足度』の向上で離職率低下など、様々な恩恵を得られることが分かっています。しかし、多くの企業が取り組んでいる「待遇面の向上(給与・休日日数のアップなど)」では、実は得られる恩恵が半減してしまうのです。

 

今回は生産性が高く、人材が辞めない強い企業を作る上で重要な「満足度」を高める“ある方法”についてお伝えしようと思います。

 

 

『満足度』と『個人のパフォーマンス』に相関関係はない

下記の論文によると、従業員の満足度が高いほど、

●離職率が低下
●欠勤率が低下

につながることが分かっています。しかし、意外なことに、従業員の満足度は『社員、個人個人のパフォーマンス(≒生産性)」には影響を与えないことが判明しています。

 

【参考文献】
Podsakoff, N. P., Whiting, S. W., Podsakoff, P. M., & Blume, B. D. (2009). Individual-and organizational-level consequences of organizational citizenship behaviors: A meta-analysis. Journal of Applied Psychology, 94( 1), 122-141.

 

 

満足度が高いほど『会社全体のパフォーマンス』は高まる

同調査の中でもう一つ面白いことが分かっています。それは、満足度が高い企業ほど、部署やチーム“全体のパフォーマンス(≒生産性)”が高いというものです。

 

なぜかと言うと、「自らの役割を超えて、チーム全体への献身的姿勢(他者のフォロー、めんどくさい業務を率先して行うなど)を示す社員」が多い企業ほど、従業員の満足度とパフォーマンスが高い傾向にあるからです。

 

 

チーム全体のパフォーマンスを高めるには2つ条件がある

社員がチーム全体への献身的な姿勢を示すには、2つの条件をクリアする必要があるとされています。

①上司から権限が適切に委譲されていること(マイクロマネジメントはNG)
②上司の決定や賞罰に合理性・公平性があること

 

つまり、従業員の満足度・チームや部署全体のパフォーマンスが高まるかどうかは上司のマネジメントにかかっているのです。

 

 

レベルの低い評価制度と観察眼が、企業成長を邪魔している

もう一つある残念な統計調査をお伝えします。それは「チーム全体への献身的姿勢を示す社員ほど、相対的に評価が低く、昇進確率が低い」というものです。

 

要は、個人プレーに走って、自身の業務範囲と成果を見えやすくした方が高評価と昇進機会を得やすい体質の企業が多いということです。評価の在り方と上司の観察眼の低さが、今の日本企業の生産性の低さを招いているのではないでしょうか?

 

【参考文献】
Bergeron, D. M., Shipp, A. J., Rosen, B., and Furst, S. A. (2013). Organizational citizenship behavior and career outcomes: The cost of being a good citizen. Journal of Management, 39( 4), 958-984.

 

 

まとめ

給与や休日日数のアップでも、従業員の満足度は向上するかもしれませんが、生産性の高い企業になるためには、上司のマネジメント改善が重要になります。

 

ぜひ、皆さんの企業でもマネジメントと評価制度の在り方を見直してみてはいかがでしょうか?

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