皆さん、こんにちは。前回から引き続いて、中小企業の上司のみなさんへ『キャリアに関するコミュニケーションが、なぜ部下のモチベーションと生産性を高めるのか?』についてお伝えしようと思います。
おさらい:離職防止、欠勤率減少、生産性の向上に!
まずは前回のおさらいから。部下の『キャリア自律性』を高めることは、部下の離職防止、欠勤率の減少、生産性の向上などに効果的。
また、キャリア自律性を高めるには、キャリアコンサルティングを行うことが有効なのですが、多くの職場で新たな時間の捻出が困難なため、評価面談や1on1ミーティングのタイミングで、上司である皆さんが部下のキャリアに関するコミュニケーションを行うことが重要になります。
部下の仕事上のストレスが緩和される
部下が「キャリアに関する見通し」を持っているほど、仕事上のストレスが緩和されるという調査結果があります。仕事鬱などの精神疾患でリタイアする会社員が増えている中で、長期的な戦力を確保するスキルを上司は持っておく必要があります。
しかし、この効果を得るにはいくつかの条件があり、
●昇進に対する『公正感』を感じていること
●上司との関係の質が高い状態
などが求められます。
会社での枠ぐ組を超えた長期的なキャリア形成に関して、部下が将来の展望を見出し、計画を立てられる支援を上司が行えるように、信頼関係を構築することが重要です。
働き盛り社員のモチベーション低下を防ぐ
皆さんは『キャリアプラトー』という単語をご存じでしょうか?
これは「キャリアが頭打ちになった状態」を指しますが、社員がキャリアプラトーに陥ると、満足度や生産性の低下を引き起こすことが分かっています。
法政大学&パーソル総合研究所「日本で働くミドル・シニアを科学する」の
統計調査によると、42歳を境に出世したい人の割合が、そうでない人と逆転するとされており、厄介なことに、重要な戦力&働き盛りのこの頃からキャリアプラトーが発生しやすくなります。
また、人生100時代と言われ、人生の中で働く期間が伸びているにも関わらず、年々キャリアプラトーの早期化が起こっているのです。
「キャリアに関するコミュニケーション」がカギ
キャリアプラトーによる生産性とモチベーション低下を防ぐカギとなるの、『キャリアに関するコミュニケーションを行える上司』の存在。
統計調査では、上司とキャリアに関するフィードバックやディスカッションが少ない企業ほど、キャリアプラトーに陥る社員が増えることが分かっています。
逆に言うと、上司からキャリアコンサルティングを受ける機会を設けることが、部下の生産性とモチベーション低下を防ぐことに繋がるのです。
※余談ですが、『退職準備プログラム』が充実している企業ほど、キャリアプラトーが抑制され、社員は最後まで走り続けてくれるそう。
まとめ
多くの経営者がまだ勘違いをされていますが、生産労働人口がピーク時の8割以下の現在、業務さえ用意しておけば、競争原理で社員が勝手に高いパフォーマンスを発揮してくれる時代ではありません。待遇が大手企業よりも悪くなりがちな中小企業なら尚更です。
逆に言うと、昇進してマネージャーとしてステップアップするためには、部下のモチベーションと高い生産性を維持するマネジメントのテクニックが、これまでよりも重要となっています。
部下を持つ上司の皆さんは、関係の質を高めるコミュニケーションと、キャリアに関するサポートを提供することで、自身・部下・組織の両方の成功をもたらして欲しいと思っております。